申し訳無いブログ
SS載せるように発掘してみますたー。 甚句なんかも気が向けば・・・?
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
another story5「黄昏」
赤い、赤い、ただひたすらに血のように赤い世界が目の前に広がっている。
道も、空も、雲も、川も、風にそよぐ草木も、そしてその風すらも赤い。
夕日の赤が全てを染める世界に、私はただ一人、立っているようだった。

どうして私がここにいるのか、ここはどこで、今はいつなのか、それすらもわからない。
ただ、夕日が綺麗で、私はそれに見入るように、呆然と立っている事だけが分かる。
まるで夢の世界にいるような気分だと、ぼんやりと思った。

「やぁ」
と、話しかけられて初めて気がついた。
私の隣に、一人の少年が立っている。
私のことを知っているのだろうか?
少年の顔を覗いてみても、夕日の赤が邪魔をしてよく見えない。
そんなことを考えている私に気付いていないのか、少年は楽しそうに笑った。
「良い夕日だね?」
そう言って私の方へ振り向く。
こちらを向いた少年を見ても、やはりよく分からなかった。
彼は私の知り合いだろうか?

私が忘れているだけ?

私は、何を・・・

何を、忘れているんだろう?

困った顔の私を見て、しかし少年は苦笑するだけだった。
「わからないかぁ・・・まあ、いつものことだし仕方ないね。
少し、歩こうか?」
知らないはずの少年の言葉に、私はゆっくりと頷き、並んで歩き出した。
川の流れに沿って続く道を、ゆっくりと、家に帰るみたいに。
その間、私は一言も喋らなかったし、少年はその事を気にしていないみたいだった。

そんな時間がしばらく続いて、突然、少年が私に訊ねる。
「知ってる? こんな夕暮れのことを、『黄昏』って呼ぶんだよ」
赤い夕日を背負って、赤い少年は私の方を振り向いた。
ぼんやりとした私の頭に、赤い、赤い声が響く。
「黄昏とはもともと『誰そ彼(だれそかれ)』と言う意味で、向こうから歩いてきた人の顔も分からないことを言うんだ。
そう、それが誰であっても・・・人間じゃなかったとしても、分からない。
それが黄昏、逢魔ヶ時(おうまがとき)」

たそ・・・がれ?
それが、人間じゃなかったとしても?
「僕は迎えに来たんだよ?」
響く。
声が、私の赤い、赤い体に響く。

どうして私がここにいるのか、ここはどこで、今はいつなのか、それすらもわからない。
でも、そんなことよりも・・・
私は一体、誰だっけ?
「僕ラのセカいに、ヨウこそ?」
私はいったイ、ナンだッケ?

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

色々と説明が必要だと勝手に感じたので、今回は忘れないうちに
さっさと書いちゃいます。

まず、この話はこのタイミングを狙って書いたものではありません。
他のリスナーさんの「ホラーを書く」発言に乗ってみたのと、
夏前に一度、「男性ゲストが来る」との知らせを聞いて、
この番組に来る男性ゲストなら、若い人だろうと思ってその人との
会話っぽく、セリフは男性、モノローグは女性と分けて作ってみた
のがこの「黄昏」です。

結局、番組の予定に合わなかったらしいのと、個人的には
男性ゲストのあまりの渋さにセリフが合わなかったのだろうと、
勝手に解釈していますが、まあそんな感じです。


次、内容の説明です。
黄昏が「誰そ彼」だったのは・・・たぶん本当。
ただ「誰そ彼」と書いて「たそがれ」と読むのですが、ラジオなので
読み方を「だれそかれ」としてもらいました。

セリフを一手に引き受ける「少年」が妖怪や幽霊の類なのは勿論ですが、
主人公である「少女」も、すでに死んでいる、と言う事が
最後にわかるようにしました。

突発的な事故で死に、次に目を覚ましたら黄昏=死者の時間だった、
と言う設定で、赤は当然血の色をイメージしてるわけですね~。

それから、読み返して気がついたのが、自分はどうも
形容詞を重ねるのが好きなようです。
「赤い、赤い体」とか、前回も「甘い、甘いお菓子」とか、
そういう表現が好きなようです。

あと、これはこっちで書いたかどうか覚えてないけど・・・mixiの方だったかな?
とにかく、このお話はthe pillowsの「オレンジフィルムガーデン」が
イメージソングになっています。

もしこの話を完熟フルハラで聞いて、気に入ってもらえたら、
ぜひ、オレンジフィルムガーデンを聴いてみてください。
夢っぽい、ボーっとした意識が表現できてれば幸いです。
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。